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「炎上―吉原裏同心8 」 佐伯泰英 [my favorite]

突然ですが、ちょっと本の紹介をしてみようかな、と思い立ちました(笑)。

私は小さい頃から時代モノが好きで、小学生向け「織田信長」「徳川家康」「豊臣秀吉」に始まって
「平家物語」(知盛が好みでした・笑)やら「徳川慶喜」やら、好んで読んでいました。
中学以降もそれは変わらず、山岡荘八さん、司馬遼太郎さん、吉田満さんなどなど、あまり
「この人の作品じゃないと駄目」というよりは、それぞれの視点の違いも含めて興味深く
読み漁っていました。

で、最近嵌ったのが佐伯泰英さんの時代小説。といっても、上にあげた方々のものとは毛色が
かなり違って、主人公は架空の人物でエンターテインメント性に溢れる小説です。
数本のシリーズが同時並行で走っていますが、江戸時代とはいえ時代がそれぞれに違っていて、
その時代を象徴する有名な実在人物名(吉宗とか)が結構出てくるのでとっつきやすいんです。
そして、すべてのシリーズを通じてワクワク感があり、意外性もあり、そして何より人の情けとか
心の機微が描かれていて、読後感がいいのが私が嵌った理由かもしれません。
しかも、数本のシリーズを抱えているにも関わらず、結構なペースで本が発行されるので、
ファンとしては「読みたい!」という気持ちをすぐに叶えてくれるところも嬉しいところです。
もちろん、シリーズによって若干の好き嫌いというか好みの序列はありますが、佐伯さんの新刊が
出るとそそくさと買いに行っています。

 さて、その佐伯泰英さんの最新刊は下記の「炎上―吉原裏同心8 」。

炎上―吉原裏同心8

炎上―吉原裏同心8

  • 作者: 佐伯 泰英
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫


 主人公は神守幹次郎と汀女の二人。もともと幼馴染のような関係(今でも女房の汀女を
幹次郎は姉さまと呼ぶんですよね)の二人、汀女が家の犠牲になる形で嫁いだ先で夫にも
理不尽な仕打ちを受けているのを知った幹次郎が、汀女を連れて駆け落ちして夫だった
藤村に追われる。色々な犠牲を払ってようやく吉原という異界に拾われて、会所の用心棒として
生活を送っています。この最新刊では、その神守幹次郎が通う道場に、猿を連れた三人の武芸者
が忽然と現れるところから始まります。男たちは他の道場にも現れて道場破りを繰り返した挙句、
さらに廓の遊女を殺したうえ、金を奪って逃げるという暴挙に出る。幹次郎と吉原会所の男衆が
必死の探索を続けるうちに、吉原を舞台にした江戸騒乱の陰謀が浮かび上がって・・・というお話。
 このシリーズは、吉原という独特の世界観が存在する場所を舞台にしているので、余計に人の
心の温かさやどうしようもない切なさを感じさせます。登場人物も様々に入り組んでいるのですが
読んでいるうちにすんなり理解できていくから不思議です。個人的には吉原遊女の頂点に薄墨太夫
の凛とした姿が非常に好きです。今回はタイトルに炎上とあるので、あぁ吉原炎上なんだろうな・・と
思いましたが、炎の中でも毅然として待つ薄墨太夫と、その薄墨太夫を幹次郎が背負って出てくる
ところで、頭の中にその画が浮かんでうーん、綺麗だなぁと思わず唸ってしまいました。
 でも、それを見つめる汀女先生(遊女に俳句などの嗜みを教えているので先生を呼ばれている)
の気持ちもよくわかるので、同じ女としてはちょっと複雑ではあります(笑)。
 そんなに構えなくてもすんなり読めると思いますので、もし気になった方は是非一作目から読んで
みてはいかがでしょう?ちなみに、義母も佐伯さんの作品に嵌っていることが判明し、新刊のやり
とりをするなど、嫁姑コミュニケーションにも役立ってくれています(笑)。


2007-03-28 13:35  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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